財務諸表分析
- 財務諸表分析の意味
財務諸表(貸借対照表や損益計算書)に示された金額を分析・比較して、財政状態および経営成績などの良否・適否を調べて、その原因を明らかにすることを財務諸表分析という。
財務諸表分析には、外部分析と内部分析がある。
・外部分析
企業の外部者(株主や債権者など)の立場からの分析
・信用分析
企業の支払い能力の程度などを調べ、融資の資料などを得るための分析
・投資分析
企業の収益性や安全性などを調べ、投資の資料を得るための分析
・内部分析
企業の内部者(経営者など)の立場からの分析
経営活動の諸問題を見い出し、改善方法の情報などを得るための分析
財務諸表分析を行うにあたり、用いられる資料には次のようなものがある
・決算公告
・決算短信
- 財務諸表分析の方法
・比率法
貸借対照表や損益計算書などの金額によって財務比率を求め、これを用いて分析する方法
・関係比率法
財務諸表上のある項目の金額と、他の項目の金額との割合によって分析する方法
・構成比率法
全体の金額を100とし、その全体を構成する各項目の金額の割合(百分率)に
よって分析する方法
・趨勢法
基準とする年度の財務諸表上の各項目の金額を100とし、それと比較する年度の
各項目の金額の割合の変化によって分析する方法
・実数法
貸借対照表や損益計算書などの金額そのものを用いて分析する方法
・比較貸借対照表
2期以上の貸借対照表の同一項目の金額を比較して、その増減によって財政状態の
変化を分析する方法
・比較損益計算書
2期以上の損益計算書の同一項目の金額を比較して、その増減によって経営成績を
分析する方法
- 関係比率法による分析
・安全性分析
安全性分析は企業における債務の支払能力の分析である
長期の支払能力の分析には、自己資本比率や負債比率、固定比率などが用いられる
・流動比率
流動資産と流動負債との割合
短期の支払能力を示す
一般に200%以上が望ましい
・当座比率
当座資産と流動負債との割合
即時支払能力を示す
一般に100%以上が望ましい
総資本に対する自己資本の割合
比率が高いほど安全
一般に50%以上が望ましい
自己資本比率=自己資本/総資本(他人資本+自己資本)×100(%)
・負債比率
比率が低いほど安全
負債比率=負債/自己資本×100(%)
・固定比率
固定資産が自己資本によって、どの程度調達されているかを示す
比率が100%以上の時には、固定資産の取得が他人資本にも依存していることを示
し、堅実とはいえず資金繰りに注意する必要がある
固定比率=固定資産/自己資本×100(%)
・収益性分析
企業の利益獲得能力の分析であり、主として損益計算書の数値を用いて分析する
・売上高利益率
売上高に対する利益の割合
売上高純利益率=当期純利益/売上高×100(%)
売上高総利益率=売上総利益/売上高×100(%)
・売上原価率
売上高に対する売上原価の割合
比率が低いほど利幅が大きく収益性が良い
売上原価率=売上原価/売上高×100%
・資本利益率
資本に対する利益の割合
比率が高いほど収益性が良い
・資本回転率
資本に対する売上高の割合
回転率が高いほど、資本の利用状況が良い
総資本回転率(回)=売上高/総資本
・資産回転率
資産に対する売上高や売上原価の割合
回転率が高いほど、資産の運用が良い
・受取勘定回転率
商品を販売する能力
商品回転率(回)=売上原価/商品有高
・固定資産回転率
設備の利用状態
固定資産回転率(回)=売上高/固定資産有高
企業経営の拡大・発展の度合いを分析する
・売上高成長率
売上高成長率=当期売上高-前期売上高/前期売上高×100(%)
・経常利益成長率
経常利益成長率=当期経常利益-前期経常利益/前期経常利益×100(%)
・総資産成長率
総資産成長率=当期総資産-前期総資産/前期総資産×100(%)